今月の表紙
甲状腺の未分化癌
都竹 正文
1
,
荒井 祐司
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.875
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902515
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- 文献概要
甲状腺腫瘍の分類に関しては「外科・病理甲状腺癌取扱い規約」の中で原発性甲状腺悪性腫瘍は,乳頭癌(papillary carcinoma),濾胞癌(follicular carcinoma),未分化癌(undifferentiated carcinoma),髄様癌(madullarycarcinoma),その他の悪性腫瘍,転移性腫瘍に分類されている.その組織型別症例分布は甲状腺外科検討会の全国集計(1977〜1988)によれば乳頭癌が最も多く79.4%,以下濾胞癌16.6%,未分化癌2.5%,髄様癌1.5%(ただし悪性リンパ腫,その他腫瘍は除く)となっている.そのうち,未分化癌は高度な構造異型,細胞異型を示す濾胞上皮由来の悪性腫瘍であり,通常の分化癌(乳頭癌,濾胞癌)とは,臨床的にも形態的にも極めて異なった経過および所見を呈する.すなわち,一般に高齢者に発生し急速な発育とともに,甲状腺周囲組織への浸潤および遠隔転移を高頻度に伴うためにその予後は極めて不良である.したがって,細胞診でこの腫瘍を指摘することは極めて意義が高い.組織学的には乳頭構造,あるいは濾胞構造を示さず,異型性,多形性の強い腫瘍細胞からなるので肉腫との形態学的鑑別が困難な場合も少なくない.
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