特集 生物進化の分子マップ
17.受容体
Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの多様性
諏訪 牧子
1
Makiko Suwa
1
1産業技術総合研究所生命情報科学研究センター
pp.462-463
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100312
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生体は外界からの情報を細胞内に伝達しながら極めて重要な機能を発現するが,多くの場合,情報伝達の起点となるのが細胞膜中のGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。これは,7本の膜貫通へリックスで構成され,哺乳類では約数百種類存在し,神経伝達物質,ホルモン,ペプチドなど数万を越える分子が結合できる。このような多様性がどのように生じ,広がってきたのか理解するため,GPCRを網羅的に解析することが必要である。
その目的で,われわれは様々な生物種ゲノムからGPCRを網羅的に同定するシステムを開発した。これは,段階的に様々なプログラムを最適な閾値,順番で組み合わせ,解析パイプライン化したものである。まず,遺伝子予測ツールによりゲノム配列からタンパク質コード領域を抽出する段階であり,次はこれらの配列に対し相同性検索,特徴的なモチーフ,ドメイン帰属,膜貫通へリックス予測を組み合わせ,GPCR候補を抽出する段階である(現状では既知のGPCRに対し,感度99.4%,選択性96.6%を示す精度で予測が可能)。収集したGPCR遺伝子にファミリー情報,ゲノム上の位置情報などを付加し,視覚的にデータベースに収めてある(SEVENS,http://sevens.cbrc.jp/)1,2)。
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