特集 受容体1997
Ⅱ.Gタンパク質共役型受容体
Gタンパク質共役型受容体
堅田 利明
1
Toshiaki Katada
1
1東京大学大学院薬学系研究科生理化学教室
pp.350-351
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901219
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1.Gタンパク質共役型受容体の機能
細胞膜上の受容体は,一般に広義の意味で二つの機能をもつと考えられる。その第1は細胞外の情報物質(アゴニスト)を選択的に認識することで,これはアゴニストと受容体間の特異的な結合によって果たされる。第2の機能は結合により細胞内に新しい情報(シグナル)を送り込むことである。細胞膜受容体はその構造とこの二つの機能の発現様式からいくつかのタイプに分類できるが,いずれも細胞膜貫通領域を1ヵ所以上有し,ポリペプチド鎖のN末端を細胞膜の外側に向けてリン脂質二重層に入り込んだ形をとっている1)。
ニコチン性アセチルコリン受容体に代表されるイオンチャネル型の受容体は,複数のサブユニットからなり,アゴニストの結合により受容体の分子構造が変化してイオンが細胞外(内)から流入(流出)する。一方,増殖・分化因子の受容体はそのC末端側細胞質内にタンパク質のチロシン残基をリン酸化するチロシンキナーゼの活性が存在し,受容体刺激によってチロシンリン酸化された受容体の自己部位あるいは標的基質のリン酸化部位は,SH2(Src homology 2)と呼ばれる領域をもつタンパク質によって認識され,タンパク質分子間の会合を介して下流にシグナルが伝達される。したがって,これら2種のタイプの受容体は,先の二つの機能をその分子内に同時に備えている。
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