Japanese
English
特集 ミエリン化の機構とその異常
シュワン細胞の分化と細胞内シグナル系
Signal transduction in Schwann cell differentiation
緒方 徹
1
,
山本 真一
1
,
中村 耕三
1
,
田中 栄
1
Toru Ogata
1
,
Shinichi Yamamoto
1
,
Kozo Nakamura
1
,
Sakae Tanaka
1
1東京大学医学部整形外科教室
pp.219-223
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100225
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
シュワン細胞は末梢神経内でミエリンを形成する細胞で,その名前はドイツの生理学者Theodor Schwann(1810-1882)の名にちなんで付けられている。シュワン細胞はラット坐骨神経などから比較的容易に単離培養が可能で,これまで多くの培養系実験によってサイトカイン・増殖因子に対する反応など,その細胞特性が研究されてきた1)。シュワン細胞分化はミエリンに特異的な蛋白(MBP,MAGなど)の発現上昇や,神経細胞との共存培養系でのミエリン形成量の測定によって捉えることができる(図1)2)。
一般に細胞に対する外界からの刺激は細胞膜上の受容体あるいは接着因子を介して受け止められ,その情報が細胞内の分子間相互作用を介して細胞核に伝わり,細胞の機能を制御する。この細胞内の分子間相互作用が細胞内シグナル系であり,外界からの情報をプロセッシングする役割を担っている。細胞内シグナル系によって,わずかな細胞膜上の変化は増幅され多くの反応を引き起こすことができる。
Copyright © 2006, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.