Japanese
English
特集 味覚のメカニズムに迫る
味細胞に存在する細胞内シグナル伝達系
Signaling components in taste transduction
浅野-三好 美咲
1
,
榎森 康文
1
Misaki Asano-Miyoshi
1
,
Yasufumi Emori
1
1東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻
pp.102-108
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100372
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脊椎動物では,甘味・苦味などの様々な味は味蕾と呼ばれる感覚器官で受容される。味蕾は50~100個の細胞が上皮中に花の蕾状に集まった組織で,舌の乳頭や口腔,魚類ではヒゲや体表にも分布している。味蕾の細胞の約3割が味神経とシナプスを形成しており,味細胞であると考えられている。味細胞の味孔側に存在する味覚受容体で受け取られた信号は,細胞内シグナル伝達系を経て膜の脱分極を引き起こし,シナプスを介して味神経へと伝えられる。では,味細胞では様々な味の情報がどのように処理されているのだろうか。
哺乳類では,味覚は一般に四ないしは五つの基本味―甘味・旨味,苦味,塩味,酸味―に分類されるが,このうち塩味と酸味の受容体はイオンチャネルであると考えられている。一方,甘味・旨味,苦味の受容体については,従来の生理学・生化学的な解析から味蕾細胞内の環状ヌクレオチドやイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)といったセカンドメッセンジャーの応答が観測され,Gタンパク質共役7回膜貫通型受容体であると予想されていた。
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