Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
舌下神経シュワン細胞腫の手術戦略
Surgical Strategy for Hypoglossal Schwannoma
吉田 一成
1
Kazunari YOSHIDA
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery,Keio University School of Medicine
キーワード:
hypoglossal schwannoma
,
condylar fossa
,
atlanto-occipital joint
,
foramen magnum
,
jugular foramen
Keyword:
hypoglossal schwannoma
,
condylar fossa
,
atlanto-occipital joint
,
foramen magnum
,
jugular foramen
pp.17-23
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101085
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Ⅰ.はじめに
舌下神経から発生するシュワン細胞腫は稀ではあるが,その進展様式から手術治療を考えたときに,非常に興味深い.本腫瘍は,頭蓋内,舌下神経管内,頭蓋外に進展し得る.舌下神経管は,後頭顆を横切っているという解剖学的特徴がある.また,舌下神経に限ったことではないが,脳神経は,頭蓋内では,epineuriumに覆われておらず,舌下神経管に入るところで,硬膜,くも膜に連なり,epineurium,perineuriumに覆われるようになる.これらの解剖学的特長は,舌下神経シュワン細胞腫の手術戦略を考える上で,極めて重要である.
前述のように,舌下神経管は後頭顆を横切っている.腫瘍が舌下神経管内で発育すると,舌下神経管が拡張する.これはつまり,後頭顆自体を破壊することを意味する.これまでに,本腫瘍に対する手術戦略がいくつか報告されているが,後頭骨環椎関節の安定性に関しては,ほとんど議論されていなかった4,7-10).われわれは最近,後頭骨環椎関節の安定性を考慮した,舌下神経シュワン細胞腫の手術戦略を報告した5).本稿では,舌下神経シュワン細胞腫の治療方針,特に舌下神経管内の腫瘍に対する手術戦略について,condylar fossaを経由する他のアプローチと比較して解説する.
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