特集 タンパク質間相互作用
17.アポトーシス
細胞死と免疫制御に関係するタンパクASCのPYRINドメインとタンパク質間相互作用
相良 淳二
1
Junji Sagara
1
1信州大学医学部保健学科
pp.484-485
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100121
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
アポトーシスでは,カスパーゼと呼ばれる一群のタンパク質分解酵素が中心的役割を果している。細胞死のシグナルが上流から来ると,カスパーゼ前駆体は受容体やアダプタータンパクを介して多量体を形成する。多量体内部ではカスパーゼ前駆体同士が近づくことによって互いに切断し,活性化する。このステップを近接活性化という。カスパーゼは現在10種類以上知られているが,その多くは多量体形成に必要な結合モチーフをもっている。結合モチーフをもたないタイプもあるが,それは下流のカスパーゼで,結合モチーフをもつ制御的カスパーゼによって限定分解され活性化される。
この多量体形成に必要な結合モチーフは約90アミノ酸からできており,アミノ酸配列の相同性から4種類に分類される。caspase-recruitment domain(CARD),death domain(DD),death effecter domain(DED),PYRIN domain(PYD)がそれである。これらの結合モチーフは上流の受容体またはアダプター分子にも存在し,上流からの細胞死シグナルによってカスパーゼをリクルートし,多量体形成を誘導する。この4種類の結合モチーフはアミノ酸配列レベルでみると相同性は30%以下と低い。しかし,その3次元構造を比べてみると非常に似ている。また,同じ種類の結合モチーフ同士が結合するという特徴をもっている。つまり,CARD-CARD,DD-DD,DED-DED,PYD-PYDの結合を原則とする。以上の事実より,この4種類の結合モチーフは進化的に親戚関係にあるというのが定説になっている。
Copyright © 2007, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.