特集 タンパク質間相互作用
12.細胞骨格
コフィリンを中心としたタンパク質間相互作用
栗田 宗一
1
,
水野 健作
1
Souichi Kurita
1
,
Kensaku Mizuno
1
1東北大学大学院生命科学研究科情報伝達分子解析分野
pp.444-445
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100101
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コフィリン/ADF(actin-depolymerizing factor)ファミリー蛋白質は,酵母からヒトまで幅広い生物種に存在し,単量体アクチンおよびアクチン線維に結合する分子量約20kのアクチン結合蛋白質である。哺乳類ではADF,筋型コフィリン,非筋型コフィリンの三つが存在し,これらの蛋白質はアクチン線維を切断,脱重合する活性をもつ1)。コフィリンはアクチン細胞骨格の動的な性質を保つのに必須であるが,その活性は厳密に制御される必要がある。コフィリンの活性を制御するということは,すなわちコフィリンとアクチンの結合を制御するということである。
コフィリンファミリーの最初の立体構造は,1996年にブタのADFであるデストリンについて決定され,コフィリンはアクチンのサブドメイン1と3の間に位置する疎水クレフトに,その最長のαヘリックスを挟ませる形で結合するというモデルが提唱されている2)。また,このアクチン結合ヘリックスの反対側にもアクチン結合部位が存在し,こちらはアクチン線維に結合するときに機能するものと思われる(図1)。低温電子顕微鏡像の再構成からは,コフィリンはアクチン線維のらせんのねじれを大きくすることによってアクチン線維の切断・脱重合を促進すると考えられている3)。
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