特集 タンパク質間相互作用
10.核
ヒトテロメラーゼの細胞内局在と複合体形成
フルツ シラガルディ
1
,
水野 秀城
1
,
村上 清史
1
Shilagardi Khurts
1
,
Hideki Mizuno
1
,
Seishi Murakami
1
1金沢大学がん研究所
pp.418-419
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100088
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細胞の老化とがん化に線状染色体末端テロメア長の制御が重要な役割を果たしている。テロメア複製に特化したヒトテロメラーゼ逆転写酵素(human telomerase reverse transcriptase;hTERT)と鋳型RNA(hTERC)は安定な複合体を形成し,テロメア末端を保護している。正常体細胞ではヒトテロメラーゼ活性はないかあるいは微弱であり,多くのがん細胞で強いテロメラーゼ活性が細胞の維持に必須であることから,テロメラーゼはがん治療の有力な標的分子である。hTERTは細胞質,核小体,核質に分布し,細胞周期によりS期後半にテロメア末端への局在が制御されていることが知られているが,テロメラーゼ複合体とテロメラーゼ活性の制御について,未だ多くは今後に残されている1,2)。われわれは,hTERTとヌクレオリンの相互作用がテロメラーゼの細胞内局在に重要な役割を果たすことを示唆する結果を得た3)。核小体局在マーカであるヌクレオリンは,RNAシャペロンとしてRNAの細胞内移送に関与し,細胞膜外から核までをシャトルする分子であり,C型肝炎ウイルス(HCV)の複製酵素NS5Bと結合してHCV複製に重要であることが最近示された4,5)。
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