特集 画像検査との“上手な”つきあい方—知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
【日常診療を円滑・安全に行うための画像検査の知識】
❻どう考えればいい?—臨床像と画像所見が乖離しているとき
佐藤 直行
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1社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院 総合内科
キーワード:
臨床推論
,
診断仮説
,
分析的思考
Keyword:
臨床推論
,
診断仮説
,
分析的思考
pp.1026-1028
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350091026
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画像検査は日常臨床になくてはならない、非常に有用な診断ツールである。日本のCT保有台数(100万人当たり)が世界でダントツの1位であることは有名な話だが、あまりにも身近なために現場では「とりあえずCT」となることも多いのではないだろうか。もちろんこれはCTに限った話ではなく、すべての身近な検査について言えることである。こういった「とりあえず検査」で、時にはうまく診断できることもあるだろうが、それは言わば診断上の“ラッキーホームラン”(ラッキー診断)でしかない。裏を返せば、“とりあえず”で検査したのはよいものの、得られた検査結果のなかに期待した異常所見がなければ、目の前の患者について「自分がアセスメントした臨床像」と乖離した検査所見の解釈を求められるということになる。そういった乖離を少なくするためには、あくまでも検査は臨床推論のなかの1つのツールでしかないことを認識し、検査の使い方を考える必要がある。臨床推論の基本に立ち返ることで「臨床像と検査結果の乖離」は減らせるが、一方で、背景知識がなければ「“乖離がある”と誤解してしまう」こともある。本稿では臨床推論と画像所見の関わりについて解説したい。

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