「精神医学」への手紙
所見と診断の乖離について
細川 清
1
1香川医科大学
pp.936
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206683
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
所見から診断への思考過程において,その間になにか不可解な乖離を覚えることがあります。精神科診療においては稀ならず経験されるでしょう。今回,本誌10月号(63巻10号,2021年)に『非けいれん性てんかん重積が想定された,統合失調症として経過をみていた1例』を拝読し,感想をお送りしたいと思います。
いきなりで恐縮ですが,本報告の説明的なやや長い診断のタイトルが気になりました。筆者のためらいともどかしさがそのまま表現されています。当初から,「診断ありき」のようです。問題を簡潔にすると,意識障害と思われるエピソードに強い脳波異常を見出し,複雑部分発作の重延を想定され,NCSE(non convulsive status epilepticus)を疑われたのでしょう。ここでこのNCSEを論じる紙数がありませんので,拙著1)を参考にしてください。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.