特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?
【各論】
⓮振戦、パーキンソニズム—抗精神病薬だけではない薬剤性振戦
辻 浩史
1
1筑波大学医学医療系 神経内科
キーワード:
振戦
,
パーキンソニズム
,
薬剤性振戦
,
Parkinson病
,
Parkinson症候群
,
処方カスケード
Keyword:
振戦
,
パーキンソニズム
,
薬剤性振戦
,
Parkinson病
,
Parkinson症候群
,
処方カスケード
pp.1235-1238
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203977
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振戦は、身体の一部がリズミカルに振動する不随意運動の一種である1)。患者は「手足がふるえる」、「振るえて字が書けない」、「コップの水をこぼしてしまう」などと訴え、日常生活に支障をきたすこともある。振戦をきたす疾患と言えば「Parkinson病」をまず考えるかもしれないが、甲状腺疾患など鑑別疾患は多岐にわたる(表1)。もちろん本テーマである薬剤性振戦も鑑別に挙げる必要がある(表2)。一方で、現在の国際的なParkinson病の診断基準では、運動緩慢が必須の症状であり、さらに筋強剛もしくは静止時振戦のどちらか1つが見られることがパーキンソニズムと定義されている2)。この定義に従うと、パーキンソニズムでは、必ずしも振戦が出現するとは限らないことにも注意する必要がある。振戦を診療する時は、背景病理を正しく診断・理解し、適切な治療を行うことが重要である。
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