特集 おなかの病気を診る〜機能性消化器疾患への誘い—つらいおなかの痛み、張り、下痢、便秘への処方箋
【機能性疾患のtips and pearls〜画像では明らかな異常がないが日常生活に支障をきたす疾患】
❺中枢介在性腹痛症候群(CAPS)
水本 潤希
1
1愛媛生協病院 家庭医療科
キーワード:
中枢介在性腹痛症候群
,
CAPS
,
flipped consultation
,
multidimensional clinical profile
,
negative capability
Keyword:
中枢介在性腹痛症候群
,
CAPS
,
flipped consultation
,
multidimensional clinical profile
,
negative capability
pp.778-781
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070778
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CASE 1
患者:40歳、女性。
生活歴:複雑な家庭環境で幼少期を過ごし、学校になじめず高校を中退した。バイト先の仕事仲間と結婚したが、子はいない。近隣トラブルやパート先での人間関係に悩み、家で大半の時間を過ごすようになった。
病歴:3年前より側腹部痛に悩まされるようになった。疼痛の部位は左のことも右のこともあるし、局在がわからないこともある。痛みが強い時は家で動くこともできない。そのような時は、無力感に苛まれ、気分がふさぎ込む。夫からは、「そんなに痛いのなら病院で詳しく調べてもらえ」と強く言われている。診察室内では悲しげな表情を浮かべており、消え入りそうな声で腹痛のつらさを訴えている。採血などの疼痛を伴う医療行為を強く拒否する。
(複数の経験症例を基に再構成したケースであり、特定のモデルは存在しない)

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