特集 おなかの病気を診る〜機能性消化器疾患への誘い—つらいおなかの痛み、張り、下痢、便秘への処方箋
【機能性疾患のtips and pearls〜画像では明らかな異常がないが日常生活に支障をきたす疾患】
❷機能性食道疾患
今枝 博之
1
1埼玉医科大学 消化管内科
キーワード:
非びらん性胃食道逆流症
,
NERD
,
食道知覚過敏
,
胃食道逆流症
,
GERD
,
プロトンポンプ阻害薬
Keyword:
非びらん性胃食道逆流症
,
NERD
,
食道知覚過敏
,
胃食道逆流症
,
GERD
,
プロトンポンプ阻害薬
pp.769-771
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070769
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CASE
患者:70代、男性。身長162 cm、体重58 kg。
主訴:胸やけ、心窩部のつまり感
既往歴:Helicobacter pylori除菌療法後、慢性胃炎
生活歴:喫煙なし、機会飲酒
現病歴:2〜3カ月前から、夜間に覚醒すると胸やけ、呑酸、喉の違和感を覚えるようになった。また、時々食事に関係なく心窩部の詰まり感を認めるようになったため、当科に来院した。腹痛、嚥下困難はみられない。
検査所見:血液検査;異常は認めなかった。上部消化管内視鏡検査;食道裂孔ヘルニアを軽度に認め、食道胃接合部付近の食道粘膜は白色混濁と縦走する軽度の発赤を認めたが、びらんや潰瘍はみられなかった(図1Ⓐ)。胃内での反転観察で食道裂孔ヘルニアを認め、胃内を送気して伸展することによりscope holding signが容易に解除された(図1Ⓓ)。下部食道括約筋の機能不全による胃食道逆流が疑われ、非びらん性胃食道逆流症(NERD)の診断となった。
経過:プロトンポンプ阻害薬(PPI)の投与により症状はいくぶん改善したが、その後も症状をしばしば認め、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であるボノプラザン20 mg/日に変更するも著効はみられなかった。また、最近は慢性便秘も認めるようになったが、下部消化管内視鏡検査では異常なく、酸化マグネシウム製剤の投与でもコントロールが十分でないため、エロビキシバット5 mg/日を追加処方して便通をコントロールしている。

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