特集 おなかの病気を診る〜機能性消化器疾患への誘い—つらいおなかの痛み、張り、下痢、便秘への処方箋
【機能性疾患のtips and pearls〜画像では明らかな異常がないが日常生活に支障をきたす疾患】
❸機能性肛門直腸痛症候群
原田 拓
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科
キーワード:
機能性肛門直腸痛症候群
,
肛門挙筋症候群
,
非特異的機能性肛門直腸痛
,
突発性直腸痛
,
圧痛
,
慢性肛門痛
Keyword:
機能性肛門直腸痛症候群
,
肛門挙筋症候群
,
非特異的機能性肛門直腸痛
,
突発性直腸痛
,
圧痛
,
慢性肛門痛
pp.772-774
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070772
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CASE
患者:42歳、女性。
既往歴:なし。
現病歴:事務職で1日中座って作業していることが多く、ここ半年ほど、夕方から夜にかけて肛門の奥のほうに鈍い痛みを感じるようになった。痛みは30分以上持続し、横になると軽減するが、翌日も同様の症状が繰り返される。排便には関連せず、出血やしこり、便通異常はない。これまでに痔の既往もなく、婦人科疾患も特に指摘されたことはない。内科、婦人科、いくつかのクリニックや医療機関を受診し、下部消化器内視鏡検査も行ったが特に異常はない。精査目的に紹介となった。
直腸診で肛門挙筋部に軽度の圧痛があり、普段の鈍い痛みの再現が認められた。Rome IV基準に照らし合わせ、「肛門挙筋症候群(LAS)」が最も疑われた。
骨盤のMRIおよび下部消化器内視鏡検査では明らかな異常はなく、重篤な疾患ではないこと、自然に改善する人もいることを説明した。幸いにも症状はそこまで重篤ではなく、本人としてはどこに行っても異常がないと言われ診断がつかないことが一番の気がかりだった。増悪因子の長時間の座位を避けること、長時間座っている時はクッションを使用すること、温めたりすること、などを指導し、外来でのフォローアップの方針となった。

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