特集 ホスピタリストのための精神科の知識
11.摂食障害—障害自体の多様化に加え,種々の精神疾患の併存による多様化もみられる
三井 信幸
1,2
Nobuyuki MITSUI
1,2
1北海道大学病院 精神科神経科
2北海道大学 保健センター
pp.805-810
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120040805
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摂食障害は,思春期やせ症という病名で知られていた時期もあり,その当時は10代の女性に発症するまれな疾患と考えられていた。しかし,時代とともに摂食障害は多様化し,頻回に過食嘔吐する症例,下剤を乱用する症例,高齢発症の症例,男性例,さらには診断基準をはっきり満たさないが,臨床上意味のある食行動異常が認められる特定不能の摂食障害の症例も認められるようになった。摂食障害自体の多様化に加え,種々の精神疾患の併存による多様化もみられるようになり,診断や治療の難易度は上がってきていると思われる。特に重症遷延化した症例に対して,限られた医療資源のなかでどのように対応するかは,重要な課題となっている。
さらに,摂食障害の症例のなかには,明らかに治療が必要だが,それを拒否する場合もあり,治療導入に難渋することも少なくない。また,摂食障害の経過中に万引きを繰り返すようになることもあり,この点も社会的な問題となっている。
このような観点から,本稿では摂食障害に関して近年注目されているトピックを交えて解説する。

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