特集 ホスピタリストのための精神科の知識
10.不安障害(不安症)—重複の多い強迫性障害(強迫症)を含めて
廣田 智也
1,2
Tomoya HIROTA
1,2
1Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, UCSF Weill Institute for Neurosciences, University of California, San Francisco
2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 子どもの発達とメンタルヘルス講座
pp.789-797
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120040789
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不安障害(不安症)anxiety disorderは,過剰な恐怖と不安,および関連する行動障害を特徴とする。恐怖は,現実に差し迫った脅威に対する情動反応で,「闘争または逃走(fight or flight)」に代表される自律神経覚醒の急激な上昇を引き起こす。一方,不安は,将来の危険に備えた警戒,また慎重な行動や回避行動に代表される。両者の違いはあるものの,恐怖と不安は重複する点が多い。
不安障害は有病率も高く,身体症状を伴うことから身体科診療でしばしば遭遇する。APA*1の発行するDSM*2-5-TRでは,不安障害は11の疾患から構成される(表1)1)。
本稿では,不安障害について内科医や他の身体科医師が知っておくべきポイントを,成人の臨床現場で頻繁に遭遇するパニック障害,全般性不安障害,社交不安障害を中心に述べる。さらに,現行のDSM-5では不安障害から切り離されたが,不安障害との重複が多く,臨床的にも重要な強迫性障害(強迫症)および関連障害群についても取り上げる。

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