Japanese
English
特集 性差と精神医学—なぜ頻度や重症度に差があるのか
なぜ不安症は女性に多いのか
Why Are Anxiety Disorders More Common in Females
塩入 俊樹
1
Toshiki Shioiri
1
1岐阜大学大学院医学系研究科精神医学分野
1Department of Psychiatry, Gifu University Graduate School of Medicine, Gifu, Japan
キーワード:
パニック症
,
panic disorder
,
PD
,
社交不安症
,
social anxiety disorder
,
SocAD
,
広場恐怖症
,
agoraphobia
,
AG
,
全般不安症
,
generalized anxiety disorder
,
GAD
,
限局性恐怖症
,
specific phobia
,
SP
Keyword:
パニック症
,
panic disorder
,
PD
,
社交不安症
,
social anxiety disorder
,
SocAD
,
広場恐怖症
,
agoraphobia
,
AG
,
全般不安症
,
generalized anxiety disorder
,
GAD
,
限局性恐怖症
,
specific phobia
,
SP
pp.74-80
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207173
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抄録
周知のごとく,不安症(anxiety disorders:AD)のほとんどは女性で多く発症する。また,女性AD患者では重症度が高く,臨床症状にも性差があるなど,女性とADとの関連性は男性に比し,より密である。では,この違いは何に起因するのであろうか。本稿では,これまでの知見を総見し,ADの性差に関し推定されるメカニズムについて,内分泌学的な観点に絞って論じた。そして,性ホルモン,特に,卵胞ホルモンであるエストラジオール(E2)や黄体ホルモンであるプロゲステロン(P4)の働き(例:E2とP4の両方が低値の時,恐怖の条件付けの消去が障害される),そしてそれら性ホルモンが月経周期に合わせて変動することが,女性のAD親和性に影響している可能性を示した。女性AD患者の診察・治療に際しては,月経周期も考慮すべきと思われる。
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