特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
凝固・線溶系検査
フィブリノゲン
村上 直己
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院検査部
pp.96-97
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104702
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血管組織が傷害を受けると,血小板による一次止血とともに凝固系が発動される.フィブリノゲンは凝固系の最終段階に関与する凝固因子で,トロンビンの作用を受けてフィブリンとなり,最終的に強固なフィブリン血栓を形成する中心となる(図1).フィブリノゲンは肝臓で産生されるため,さまざまな肝障害による産生低下により低値をとる.また,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)など凝固促進・凝固因子消費亢進をきたす病態があれば低値となる.また,一次線溶亢進状態ではプラスミンの作用を受けてフィブリノゲンの分解亢進が進み,低値を示してくる.稀に先天性無フィブリノゲン血症・異常フィブリノゲン血症による低値がある.
一方,フィブリノゲンは,感染・炎症など,さまざまな病態に反応して高値を示す.
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