書評
「—苦手な人もこれで安心!—4つのStepで考える てんかんの精神症状」—兼本浩祐【著】
音成 秀一郎
1
1広島大学病院脳神経内科
pp.926
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960770080926
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
てんかんと精神障害—非専門医にとって,この組み合わせほど「コモン」でありながら,「自分が診るものではないランキング」の上位に入るものはない。多くの身体科の医師が避けてきた分野である。思うにこの絶妙な距離感は,学問側の責任でもあるだろう。てんかん発作の分類は複雑で分類はすぐに改訂されるし,精神疾患の用語もややこしくユーザーフレンドリーとは言いがたい。
しかし,当直前夜にどれだけ願ったとしてもERで遭遇するのが「発作」であり,対応に困るのが関連する精神症状である。もちろん精神科医に相談したくなるが,「それほど頼りにならなかった」と感じた経験もあるだろう。ただし,これは精神科医の力量の問題ではない。むしろわれわれ身体科の医師がてんかんに関連する精神症状への理解を十分に持たず,「丸投げ」してきた構造的な問題と捉えるべきである。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.