書評
—内海 健,兼本浩祐 編—精神科シンプトマトロジー—症状学入門 心の形をどう捉え,どう理解するか
熊木 徹夫
1
1あいち熊木クリニック
pp.481-482
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206601
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本書は精神科の「症状学入門」である。「症状の把握は,精神科臨床のアルファでありオメガであるから,今更あらためて学ぶまでもない。常日頃,DSMも使っているし……」という向きがあるかもしれない。ではDSMさえあれば,診療は滞りなく行えるのか。本書は,精神病理学の泰斗たる編著者が,これまたベテランの精神科医たちと手を携え作り上げた,入魂の一作である。なぜあえて今,本書を世に問うたのか。私なりにその意をくんでみようと思う。
本書を通読し終えて,ふと過去に触れたソシュールの言語理論を想起した。その概略(ほんの一部ではあるが)は以下の通りである。ただ振り返るだけでなく,この理論は精神科症状学においてアナロジーが成り立つことを指摘していく。少し長くなるが,おつきあいいただきたい。
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