書評
「てんかん学ハンドブック 第3版」―兼本浩祐●著
中里 信和
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1東北大学大学院・てんかん学
pp.1034
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101291
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本書の著者,兼本浩祐先生にはファンが多い。患者や同僚たちのほか,彼の講演を聞いた聴衆たちが次々とファンになるのである。著者の豊富な知識と経験だけではなく,人間的な魅力に惚れていくのである。直感的とも感じられる鋭い洞察力,患者に対する優しさ,そして軽妙な語り口。同じ理由で本書『てんかん学ハンドブック』は,前版から多くのファンを抱えていた。簡潔・明瞭で,かつ楽しい教科書というものは,そうあるものではない。
てんかんは有病率約1%の「ありふれた病」であるが,けっして安易に診療できる疾患ではない。日本の患者の約8割は,てんかん診療の専門的トレーニングを受けていない医師によって治療されているといわれる。したがって,一部の専門医のためだけの教科書よりは,非専門医や医学生,あるいは患者が手に取ってみたくなるような教科書が必要とされていた。
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