連載 スーパー臨床神経病理カンファレンス・12
両下肢痙性と排尿排便障害が進行した77歳男性例
佐藤 亮太
1
1山口大学大学院医学系研究科臨床神経学
キーワード:
CIDP
,
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー
,
ノドパチー
Keyword:
CIDP
,
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー
,
ノドパチー
pp.83-87
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960770010083
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〔現病歴〕幼少期の発達や運動機能に問題はなかった。64歳頃に左下肢の脱力と左足先のジンジン感が出現した。65歳時に近医を受診して腰椎椎間板ヘルニアと診断されたが,下肢の筋力低下が進行するため,67歳時に近医神経内科を受診した。神経伝導検査で脱髄所見がみられ,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP)と診断された。ステロイドパルス療法を施行されて,下肢筋力は改善した。外来で経過観察されていたが,68歳時に通院を自己中断した。72歳時に手指脱力や歩行時のふらつきがみられるため,近医神経内科を再度受診した。CIDPに対してIVIg(0.4g/kg/day 5days)が投与されたが,症状に改善はみられなかった。プレドニゾロン内服治療 (60mg/day)が開始されたが,症状の改善は乏しかったため,血漿交換療法が追加された。歩行状態はわずかに改善した。しかし,カテーテル関連感染症や化膿性脊椎炎をきたし,治療は中断されていた。75歳頃から手の使いにくさが悪化し,下肢脱力と尿意・便意がわかりにくくなったため,精査目的に76歳時に当科に入院した。
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