Japanese
English
教育講座
超急性期から始めるサルコペニア対策
Sarcopenia Control Strategy Starting from the Hyperacute Phase
入澤 寛
1
,
中村 智之
1
,
千葉 友美
1
,
廣田 美槻
1
,
美津島 隆
1
Hiroshi Irisawa
1
,
Tomoyuki Nakamura
1
,
Yumi Chiba
1
,
Mitsuki Hirota
1
,
Takashi Mizushima
1
1獨協医科大学リハビリテーション科学講座
キーワード:
サルコペニア
,
リハビリテーション治療
,
急性期
,
身体組成
,
栄養素
Keyword:
サルコペニア
,
リハビリテーション治療
,
急性期
,
身体組成
,
栄養素
pp.629-635
発行日 2024年7月18日
Published Date 2024/7/18
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
サルコペニアとは
加齢に伴い骨格筋量が減少していくことは以前から知られていた.この現象について,1989年にIrwin Rosenbergがギリシア語のsarx(筋肉)とpenia(減少)からsarcopenia(サルコペニア)という造語を用い,筋量および筋力の低下を意味する疾患の概念を提唱した1).このサルコペニアという概念は,特に高齢化が進行している先進西欧諸国において次第に広がっていった.
サルコペニアはその成り立ちから,当初は骨格筋量の低下のみを示していた.しかし,次第に骨格筋量の低下に伴う筋力低下や運動機能の低下が転倒やADL低下,入院リスク,疾患の予後にも影響することが明らかになるとともに,サルコペニアの診断には,握力や歩行速度などの機能的側面も重視するべきであるとの意見が大勢を占めるようになった.その結果,2010年に欧州老年医学会などの研究グループEuropean Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)により,歩行速度と,握力,骨格筋量を指標としたサルコペニアの診断基準(EWGSOP2010)が提唱された.さらに,EWGSOPは,サルコペニアを「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で,身体機能障害,QOL低下,死のリスクを伴うもの」と定義づけた.このように広い意味をもつようになったサルコペニアの概念は世界中に広がった.サルコペニアの診断基準としては65歳以上の高齢者において歩行速度,握力,骨格筋量を用い,運動能力および筋力を評価した(図1)2).

Copyright © 2024, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.