しっかりしろ！日本人……ということなのかな？

　小室直樹，不思議な人だ。ついこの問『数学嫌いな人のための数学原論』という本が出版されたと思ったら，まもなく『日本人のためのイスラム原論』などという本が出て，その他にも，書店に行けばさまざまな分野の「小室本」が並んでいる。天才，大学者と呼ぶ人もいれば，大雑把，誤解を招く文章という人もいてインターネット上での評価はさまざまである。それにしても，この守備範囲の広さは何？と思っていたのだが，本書の著者紹介を見てある程度納得した。

　京都大学理学部数学科，大阪大学大学院経済学研究科を経て，フルブライト留学生としてアメリカに渡る。ミシガン大学大学院で計量経済学，ハーバード大学大学院で心理学と社会学，マサチューセッツ工科大学大学院で理論経済学を学ぶ。帰国後，東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を修了。東京大学法学博士。そして1980年に発表した『ソビエト帝国の崩壊』において，ソ連崩壊を10年以上も前に的確に予言したことで有名なのだという。もう私はひれ伏すしかないのだが，でも，やっぱりどうしてここまで広がっていけるのだろう，何をどうしたいのだろうという思いはかすかに残っている。