連載 当事者研究・11
〈研究テーマ〉「爆発」の研究 パートII―爆発サイン―ポジティブな「お客さん」には気をつけろ!―の研究
河﨑 寛
1
,
林 園子
,
山本 賀代
,
松本 寛
,
永友 ゆみ
1べてるしあわせ研究所
pp.73-78
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900728
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
このべてるの仲間ではじまった当事者研究の最初は,僕自身の「爆発」の苦労からだった。その辺の経緯については,すでに「精神看護』2002年1月号に掲載したが,その中では,一人っ子として育ち,物心がついたころからいつも独特の緊張感の中で過ごしてきたこと。高校は何とか卒業したものの,自分の人生の方向は定まらず,両親ともトラブルが増える中で被害妄想がつのり,親に暴力や暴言を吐くようになり精神科への入退院を繰り返すようになったこと。すべてを清算したいと思うと同時に小火(ぼや)を出し,家が全焼してしまい強制入院になったこと。にもかかわらず,自分白身の閉塞感が蓄積して爆発をするということをやめることができずに,藁をもすがる思いで浦河にやってきたことを紹介した。そして,この悪循環を解明するために白己研究をはじめたのだっだ。
その中で明らかになったことは,①僕は爆発に依存していたこと,②爆発のきっかけづくりのために,親が一番腹を立てるであろうこと―たとえば寿司を買わせて1人で食べる―をわざとやっていたこと,③爆発を止めるというよりも,活かす発想で取り組む必要があること,④この爆発の悪循環には,認知の壁―いわゆる今回取り上げる“お客さん”―の関与があること,を示した。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.