特集 その裏にある「虐待」問題
援助者に知っておいてほしい被虐待者を救ういくつかの方法
磯谷 文明
1
1くれたけ法律事務所
pp.51-56
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900724
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被虐待児の7割に精神的症状がある
アリス・ミラー★1は,被虐待児は多くの精神的問題を抱えやすいということを,数々の実例を踏まえて世に訴えたが,わが国でも,平成9年に全国児竜相談所長会が発表した調査結果によると,被虐待児の実に7割に何らかの精神的症状が見られたそうである。このように考えると,精神科の門をたたく患者が過去に深刻な児童虐待を受けていたということは,決して少なくないようである。
患者が子どもであるとき,被虐待が疑われる場合は親子分離が検討されることになる。その場合,中心的にかかわるのは児童相談所である(もっとも,患者が18歳以上20歳未満であるときは,児童相談所の対象外となるため,特別な問題がある)。一方,患者がすでに成人しているときは,児童相談所は関与せず,問題に応じてさまざまな機関が関与する。親権の問題はすでに消滅しているので,基本的には本人がサポートを受けつつ主体的に必要な手続を行なうことになろう。
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