連載 職場のエロス・2
コーヒー牛乳の日差し
西川 勝
1,2
1老人保健施設ニューライフガラシア
2大阪大学大学院臨床哲学博士課程前期1年
pp.69
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900679
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どうしても忘れられない笑顔があります。20年は経ったでしょうか。ある男の底抜けの笑顔です。彼への診断は精神分裂病。40歳を過ぎたあたりで,数え切れない入院歴がありました。何度も社会に出ては,へし折れるようにして病院に戻っていました。
普段は物静かで考えにふけっている様子で,看護に困るといったことはなかったのです。彼は若いころから仏教を独学しており,畳部屋の片隅で正座している姿はちょっと奇妙な品格がありました。髪は薄く,濃い眉毛がギザギザに撥ねていましたので達磨大師のようだと噂されていました。
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