特集 「反社会性人格障害者」という人―精神科病院はどこまでやれるのか,やるべきなのか
反社会性人格障害者を忌み嫌うことは,医療者として恥なのか
春日 武彦
1
1東京都立松沢病院
pp.36-47
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900538
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スペクトルとしての反社会性人格障害
ひと口に反社会性人格障害といっても,どのような患者(果たして彼らが『患者』に該当するか否かは本稿のテーマそのものにかかわってくるのだが,便宜上,ここでは患者としておく)のイメージを描くのかは読者によってかなり違いがありそうな気がする。
そもそもDSMにせよICDにせよ,分類項目として挙げられている人格障害はどれも精神病理の見地から妄想性とか演技性とか強迫性などとネーミングがなされているのに,反社会性人格障害だけはまったくニュアンスが異なる。この名称は,つまり「とんでもない奴,善良なる市民の敵」と言っているのと同じで,ひどく感情的なのである。換言すれば,そうまでしても命名せずにはいられないような特異な人々が世間には厳として存在しているというわけである。
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