特集 これが薬を減らす道
「現実から逃れるための薬」が「自分にとって必要な薬」に変わるまで
中川 よう子
1
1日本アノレキシア・プレミア〈NABA〉
pp.44-46
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900509
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強い薬が次々と出されて
私が処方薬を飲み始めたのは15歳のときだったから,今から15年以上前のことになる。もともと市販薬の精神安定剤や咳止め液を乱用していたのだが,快楽を求めるのではなく,現実から逃れるために使っていた。
子どもの頃に「親から無視される」という心理的な虐待を受け,空想癖のある子どもになった。現実の中で生きていくことは困難だったからだ。誰からも必要とされないという恐怖をいつも抱え,自分が何を感じているのか何をしたいのか分からない状況の中で生きていた。感じるのは空虚感くらいのものだった。
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