ベッドサイドの看護
末期肺癌患者への援助—ブロンプトン液服用により癌性疼痛から逃れられた事例
御手洗 好子
1
,
濱田 了
1
,
甲斐 隆義
2
,
大塚 ツギ子
3
1国立大分病院呼吸器科病棟
2国立大分病院呼吸器外科
3国立大分病院呼吸器科病棟
pp.166-170
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922711
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治癒見込みのない重症患者の中でも,末期癌患者の身体的苦痛,特に癌性疼痛が治療や看護の上で最も困難な問題のひとつである.その癌性疼痛もペインクリニック等の発達によりずいぶん緩和されたとはいえ,まだまだ未解決の部分が残されている.患者の苦痛の程度はおよそ他者からは察し難い.患者の苦しむ様を目前にして医療者側である私たちは,まず患者との信頼関係を成立させ,少しでも患者に近づくよう心がけねばならない.その苦しみの中には身体的な痛みだけではなく,精神的な苦しみも大いにあるからである.それゆえ私たちは,癌性疼痛に苦しみ,なおかつ精神的な苦痛を背負った患者に,少しでも苦痛を和らげるためにはいかにケアすればよいのかを真剣に考える必要がある.痛み,痛みで明け暮れる患者とのかかわりの中で,今回私たちは回復を信じきっている末期肺癌患者に,ブロンプトン液という麻薬水容液を与え続け,癌性疼痛から逃れることができた事例を経験したので,ここに紹介したい.
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