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特集 精神科臨床にみる家庭・家族の現在—何が変わり何が変わらないのか?
家族は変わったのか—現実の家族とこころの中の家族
Has Family has Changed or Not?: Actual family and intrapsychic family
藤山 直樹
1
Naoki FUJIYAMA
1
1上智大学総合人間科学部
1Faculty of Human Sciences, Sophia University, Tokyo, Japan
キーワード:
Family
,
Psychiatric practice
,
Psychoanalysis
Keyword:
Family
,
Psychiatric practice
,
Psychoanalysis
pp.765-770
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205231
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はじめに
私たちの暮らしぶりは,どんどん変化している。私が精神科医になった38年前と比べても,大きく変わった。その頃は,たとえばコンピュータというものが自分の生活にこれほど深く入り込むことは予想もつかなかったし,スマートフォンやSNSといった手段で人々が絶えず交流し続けている事態など想像不可能であったし,ありとあらゆるものが宅配であっという間に届くなどと考えたこともなかった。こうした生活の質,もしくは感触の変化は,日常生活のさまざまな領域で起きている。それはもちろん対人的な交流の領域でもそうである。
ふりかえって考えてみよう。江戸時代の人々。明治・大正期の人々。戦後間もなくからバブル崩壊までの人々。そしてその後の現在の人々。人が人とどのように付き合い,どのようにコミュニケートしていくかについての感触はかなり違っているだろう。もちろん,いくつもの時代を通して体験を比較できる人は,人間の寿命の限性からみてありえないが,そんな人がいたら確実に変化を語ってくれるような気がする。
そうした人と人との交流の変化は家族というものにどのように影響をしているだろう。家族のありようは変わってきているのだろうか。この特集のテーマは,私たちが臨床家として遭遇する家族から,そのことを考えてみることのようである。「エッセイのように」この問題に取り組むようにという編集委員会の依頼に応えて,この問題について,フォーマルな文献参照をせず,個人的教養の範囲で,かなりパーソナルな経験にもとづいてパーソナルな考えを書いてみたいと思う。
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