特集2 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
Nさんの宝箱
大舘 千恵
1
1松山看護専門学校医療高等課程准看護師科(投稿当時)
pp.694-695
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100986
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看護学校の授業終了チャイムとともに,私は看護学生から,小学4年生と幼稚園児のお母さんに変身する。スーパーの広告を片手に子どもの手を引き,お買得商品や息子と娘の笑顔を買い物カゴに入れる。私のささやかな幸せの時間である。
夫を3年前に癌で亡くした私には,さまざまな後悔があった。看護の知識があれば早期発見につながり,長生きできたかもしれない。また,技術があれば,心や体の痛みを少しでもやわらげてあげられたかもしれない。そんな思いを込め,看護学校に入学した。精気を失い抜け殻のような─そんな私を現実の世界まで引き戻し,魂を込めてくれるのが子どもたちの成長であり,看護の学びである。
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