特別記事
—今さら聞けない精神科用語—「防衛機制」を理解しよう
小林 信
1
1東京医科大学医学部看護学科
pp.36-44
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200570
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「どうしてあんなおかしなことを言うの?」と感じる時
多くの患者さんやその家族と接している看護師は、「どうしてあの患者さん(家族)は、あんなにおかしなことを言ったりやったりするのだろう?」と思う場面に遭遇することが少なくないのではないだろうか。もちろん精神科では病気の症状がそうさせている場合もあるだろうが、そういう場合、看護師はいずれ治療が進めば症状は軽快してくるという経験があるので、それほど困惑しない。一方、病気の症状とは全く別の次元で、非現実的で非合理的な奇異な言動を表す人たちがいる。そしてそれは精神科のみならず、普段の日常的な人間関係の中でもしばしば出会う。
例えば、ある程度年齢を重ね、知能や発達に問題があるわけではないのに、やたらとワガママになったり、ダダをこねたり、妙に子どもっぽく振る舞う人や、いくら懇切丁寧に病気について説明しても「私がそんな病気になるわけがない。誤診だ」と病気を認めようとしない人、などである。これらの人に接する時、看護師は否定的な感情を惹起されやすいので、「変わった人」「わからず屋」などのレッテルを貼ってしまって、なんとなく積極的にかかわることを避けてしまうことがあるのではないだろうか。
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