小腸の炎症
原因不明慢性炎症性疾患 非特異性多発性小腸潰瘍症およびその他の原因不明慢性炎症性腸疾患
安川 重義
1
,
平井 郁仁
,
高津 典孝
,
矢野 豊
,
長浜 孝
,
久部 高司
,
松井 敏幸
,
池田 圭祐
,
岩下 明徳
1福岡大学医学部附属筑紫病院 消化器内科
キーワード:
X線診断
,
十二指腸鏡法
,
鑑別診断
,
小腸疾患
,
小腸潰瘍
,
小腸内視鏡法
,
里吉病
Keyword:
Duodenoscopy
,
Diagnosis, Differential
,
Radiography
pp.142-148
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2015186570
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クローン病やベーチェット病,単純性潰瘍を除く原因不明の慢性炎症性腸疾患として,非特異性多発性小腸潰瘍症(CNSU),また当院で経験した里吉症候群のびまん性小腸病変について述べた.非特異性多発性小腸潰瘍症の臨床像は,持続的な便潜血陽性,若年期より続く鉄欠乏性貧血,低蛋白血症を特徴とする.病変は終末回腸を除く中~下部小腸に好発し,輪状から斜走状の浅い潰瘍を認め,介在粘膜は原則的に正常である.稀少疾患であるが,典型的な経過,所見を呈し,診断にはこれを把握することが重要である.里吉症候群は進行性筋痙攣,全身脱毛,下痢を主症状とする疾患で,本症例の小腸病変はびまん性に認め,粘膜面は粗そう,大小不同の顆粒状隆起を特徴とする.本来,神経疾患と考えられてきたが,近年,その腸管病変の存在が知られつつある.
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