焦点
—看護師の語りの現象学—ACTで働くことにした
近田 真美子
1
1東北福祉大学
pp.258-274
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200230
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著者とACTとの出会い
ACTとは、Assertive Community Treatmentの略で「包括型地域生活支援プログラム」のこと。私はある本との出会いがきっかけでACT*1の虜になった。
その本『こころの医療宅配便—精神科在宅ケア事始』*2は、日本で初めて在宅ケア専門の精神科医療サービスを展開しているACT-Kの高木俊介医師が書いた活動実践記録である。利用者1人1人のニーズに合わせた固有の時間と場所を確保するため、24時間365日、“看護”の枠組みを超えて“街の何でも屋”のごとく走り回るスタッフの姿。エピソードの1つ1つから、利用者と家族の夢や希望を叶える支え手として存在できるというスタッフの幸福感がじわじわと伝わってくる。病院を飛び出し、地域というフィールドで水を得た魚のようにイキイキと活動している訪問スタッフの嬉しそうな表情を思い浮かべ、胸が熱くなった。以後、物語が身体に刷りこまれるまで、何度も何度も、繰り返し読んだ。まさに、ACTから“逃れられなくなった”のである。
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