特集 作業療法士に学ぶ「発達障害を持つ人への理解と対応のコツ」
発達障害児の療育・作業療法から学んだ行動特性の捉え方と、望ましい対応
関森 英伸
1
1国際医療福祉大学保健医療学部作業療法学科
pp.240-244
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200226
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感覚統合という概念
発達障害当事者の書籍・講演などでいわれるように、多くの発達障害児(者)には“感覚処理過程(感覚統合)”の偏りがあることがわかってきています。例えばドナ・ウィリアムズは著書*1のなかで、「なにしろ、私は人に近付かれることと触れられることが徹底的に嫌いなのだ」と、触れられることに対する過敏さがあることを語っています。ニキリンコも著書*2のなかで、「(こたつに脚を入れると)脚なくなりますよね」と、自分の目で見えない体の部分はないものという、我々には思いもよらない独特な体の捉え方について述べています。また、最近の海外の研究でも、自閉症スペクトラム児において聴覚、触覚等、感覚処理に問題を呈する児の割合が、79〜94%に達すると報告されています*3-6。
筆者は人の脳のなかで行われている“感覚処理”と“行動”の関係を整理した“感覚統合理論”に出会い、発達障害児(者)の独特な行動や言動に遭遇した際、「ちょっと待てよ……ひょっとしたらこの言動はわざとではなく、感覚統合がうまくいっていないことが影響しているでは?」と、考えるようになりました。より多角的に発達障害児(者)の行動の背景を理解し、そのうえで具体的な支援を検討するようになったのです。
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