連載 東日本大震災以来、メンタルヘルス支援を続けています
「心の架け橋いわて」の活動報告・3
「専門職の鎧」を脱ぎ去る
山中 浩嗣
1
1NPO法人「心の架け橋いわて」
pp.314-317
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200095
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フィリピンで見たもの
精神科医である私は、現在、認定NPO法人「心の架け橋いわて」(通称:こころがけ)のメンバーとして、岩手県大槌町を中心とした地域で、被災地長期メンタルヘルス支援活動に参加している。活動開始から3年以上を経て、見えてきたことについて、経験を交えてお伝えしたい。
私が大災害後にも長期支援が必要であることを知ったのは、もう20年ほど前のことだ。あるNGOの主催する学生向けスタディーツアーで、私はフィリピンに向かった。いくつかの訪問先の1つに、ピナトゥボ火山のふもとの村があった。そこで知った事実は、1991年6月7日の噴火から5年も経つというのに、今でも大量の噴石や火山灰が上流から次々と押し寄せ、毎年、1つの市町村レベルの土地が住めなくなっているという事実であった。
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