連載 暮らしの手触り・第3回
見えない白衣の脱ぎ方
坂井 雄貴
1,2
1にじいろドクターズ
2ほっちのロッヂの診療所
pp.336-337
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202012
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主治医意見書を書くのが苦手だ。思えば研修医の頃から、介護保険を利用するために、医者にかからなければいけないことに違和感があった。訪問看護や訪問介護、デイサービス、福祉用具、そんな暮らしに関わることを、どうして医者が決めるのだろう? 実際、患者の病気のことは知っていても、それが地域での暮らしや生活にどう影響しているかを医療機関にいる医者が知ることはとても難しい。
ある日、介護職員の方に連れられて80代の女性が初めて診療所にやってきた。聞くと認知症のため異食や徘徊をしてしまうそうだ。同居の息子さんには仕事があることから、ほぼ毎日、見守りのためにデイサービスで過ごす必要があり、介護認定の更新に主治医意見書が必要とのことだった。
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