連載 中動態の世界・4
「思考の可能性の条件」としての言語
國分 功一郎
1
1高崎経済大学
pp.93-101
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101351
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[要旨]
◎古代ギリシャ人は「意志」という概念をもたなかった。その後の「意志」概念のなりゆきを中動態の衰退と関係づけて説明できないだろうか? しかしそもそも、言語と思考の間にはどのような関係があるのか?
◎「言語が思考をしているのかしていないのか」という視点からのデリダのバンヴェニスト批判。しかしそこで見落とされているのは、多種多様な作用が展開するための「場」としての社会や歴史である。
◎バンヴェニストは、言語は思考を「規定する」のではなく、「素地を与える」と言っている。そのとき言語と思考は単なる論理的な関係をやめ、その間に社会、歴史、時間─すなわち「現実」が嵌入してくるだろう。我々が考えるべきもその次元である。
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