連載 精神科の患者さんの身体では、何が起きている?・4
Obesity paradoxと医原病
秀野 武彦
1
1浅井病院・精神科
pp.56-60
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101343
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Obesity paradox
肥満した統合失調症患者をみると、多くの精神科医療関係者はなんとか痩せさせたいと思います。肥満は高血圧、脂質異常。耐糖能異常などと関連し、メタボリックシンドロームになれば心血管死への道が開かれると考えるからです。
ところが、2002年、実際に冠動脈疾患を発症して経皮的血管形成術を受けた患者の追跡調査で、全く逆の結果が報告されました*1。つまり、正常またはやせている患者(BMI<25)よりも、肥満者(BMI≧25)のほうが死亡リスクが低かったのです。心疾患を発症してしまった後は、肥満はむしろ防御的に働くというこの現象を、Obesity paradoxと呼ぶようになりました。
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