あいまにカプチーノ
Coffee Paradox
宮島 栄治
1,2,3
1横浜市立大学医学部臨床検査医学
2横浜市立大学附属市民総合医療センター臨床検査部
3横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター
pp.1114
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103169
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「苦い!」高原の透明な空気に似合わない大きな声を発した微かな記憶が蘇る.私とコーヒーの出会いは半世紀以上前に遡る.「大人には良いが,子どもの体には悪い」との父の説明が,一休さんと和尚との“水あめ問答”に聞こえたかどうか定かではないが,「大人だけずるい」とダダをこね,味わったのは良いが,あまりの苦さのためか,早すぎた出会いのためか,再会までに10有余年を要した.再会した後は,コーヒー豆の種類,焙煎程度,引き方,入れ方,そして飲むカップの形状までこだわりのある時期を経て,ごく普通のコーヒー愛飲者に至るのは諸兄と同じである.
コーヒーのカフェインは,「心臓に,血圧に良いのか,悪いのか」,循環器専門医,高血圧指導医としては,しばしば受ける質問であり,患者さんご本人にとっては,切実な問題に違いない.コーヒーで血圧が上がる,胸がドキドキすると訴える患者さんは少なくない.実際,私も濃い目のコーヒーを多飲すると動悸がすることがある.
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