連載 勢いでのメール、失礼します!・2
あなたの病棟の“ヨシコさん”
柿沼 紀子
1
1医療法人正永会港北病院
pp.7
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101124
- 有料閲覧
- 文献概要
私が精神科病院に勤め始めたのは、まだ20代の頃でした。初めてのことばかりで、ビックリしたり、唖然としたり……。そんな中、病棟で出会った大先輩看護師がいます。その名も、「ヨシ子さん」。外見は「肝っ玉母さん」そのものです。
いつもドン! と構えていて、何が起きても動じません。若かった私たちはヨシ子さんを驚かせようと、ビックリ箱のようなものを渡しました。はじけたビックリ箱を手に、ヨシ子さんは微動だにせず、「はぁ~、よくできてるわ」とおっしゃいました。「横浜の空襲で、焼夷弾の下をくぐりぬけて生きてきた私が、こんなもんでビックリなんかしないよ」。ある日の夜勤では、「私は腰が痛いんだよ」といいつつ、「ヨシ子さぁーん、大きな蜘蛛がいるぅ」と泣きつくと、「どれ!」と廊下に出てくるやいなや足で踏みつぶしてくれました。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.