VOICE! 読者が語ります
「所属先がない」という不安/9月号「眠りたくてしょうがない」を読んで
pp.4-5
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100935
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- 文献概要
私の職場であった雲雀ヶ丘病院(福島県南相馬市)は、東日本大震災と原発事故の影響で患者やスタッフが避難し、休診となりました。患者さんたちが無事に県内外の他の病院に避難しホッとしたのも束の間、私自身が仕事を失っていることに気がつきました。
「仕事に行きたくない」なんて思う日もあったのに、そんな仕事が「ない」のです。数日間は解放された気分でしたが、日が経つにつれ、原発の補償の先行きが見えないこと、辞職をするのか休職を選択するのか、自宅のローンの支払いや車の維持費はどうするのか、といった現実的なことが気になり始めると、次から次へ不安な要素が増えていきました。これまで私は、仕事を“辞めた”ことはありましたが、仕事が“なくなった”ことは初めてで、それには大きな違いがあるのだと知りました。お金の不安ももちろんですが、所属先がないという解放感に耐えられなくなりました。
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