連載 シネ・プロフィル・23
妖精は眠った
片場 嘉明
1
1厚生中央病院・外科
pp.821
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901534
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セックス・アピールのマリリン・モンローから新境地を引き出したビリー・ワイルダー監督が,いみじくも「胸の膨らみの魅力を過去のものにしてしまうだろう」と言った女優がいた。『ローマの休日』で彗星のごとく登場したオードリー・ヘップバーンである。
彼女が世界的な女優になったきっかけは,ロケ地で『青い麦」『ジジ」の作家コレット女史と出会ったことに始まる。女史は自作の可愛い主人公にぴったりの彼女を「ジジ』の主役に推薦した。その舞台が『ローマの休日』の王女役になる新人を探していた名匠ウィリアム・ワイラー監督の目に止まったのである。監督は一目会うなり,王女役は彼女しかいないと感じた。清純ななかにも気品の漂う容姿に加え,あの「アンネの日記』と同じ少女期の苦難に満ちた体験により培われた意思の強さは,ハリウッド女優にはない存在感があったという。
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