連載 戦前、精神障害者の治療を担っていた民間施設とは・1【新連載】
高尾山のお滝場が関東圏で果たしていた役割
金川 英雄
1,2
1帝京平成大学
2東京武蔵野病院
pp.95-100
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100673
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薬のない時代はどうしていたのか
想像してみてください。あなたの前に対話性幻聴や精神運動興奮などの陽性症状が活発な患者さんがいる。しかしそれが精神科薬のない時代だったとしたら……。
60年前まで、つまりメジャートランキライザーが出てくる前まで、精神障害者の方々はどうしていたのだろう。ひどく単純な質問だが、首をひねる人が多い。これまで明治以後の大学病院や大精神病院の歴史の本はあったが、精神障害者やその家族、そしてその方たちを何とかしようと街中で努力した人の歴史は語られたことがなかった。
この連載ではそのような歴史を、各地方に分けて説明していく。今回は東京。私の大好きな高尾山と障害者の関係にスポットを当てたい。この後、仙台の幻の施設「東北慈恵院」、富士山ろくの宗教団体施設「不二大和同園」、兵庫県山中のお滝場と、毎号執筆者を代えて続く予定だ。
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