特集2 新しい教科書「系統看護学講座/精神看護学」を読む
私が思い出してしまったあの出来事
③死にたいという人への陰性感情
本田 乾
1
1井之頭病院
pp.29-36
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100637
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新しい教科書のなかで、私をとらえたのは次の一文です。
――人とかかわることを通して、相手を理解し、自分を理解することを目ざしていく。これがケアの人間関係の前提である――
相手を理解し、自分を理解することを目ざすのは、どんな職業においても、また家族や友人との関係においても必要なことではありますが、精神科看護においてはこの必要性を特徴的に感じます。
精神科の患者さんが表す疾患には、生育歴や家族との関係性が大きくかかわっていることが多いため、患者さんのバックグラウンドにもスポットライトを当て、患者さん全体を観るということが必要になります。そのためにはケアする側である私たちの人間性も重要です。人生の中でどんな経験をし、どんなことを考え生きているのか、どんなキャラクターなのか、など。そうしたことが、自分自身がケアの道具である精神科看護では光を放ちます。病棟単位でいえば、違った感性をもつスタッフがいて、1人の対象者が見せる1つの反応に対していくつものとらえ方・対応の仕方があるからチーム看護になるのです。看護者個人の独自性を発揮できるのが精神科看護の楽しさであると私は感じています。
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