慢性期の患者・家族とのコミュニケーション・7
患者・家族の陰性感情の扱い方
岡本 拓也
1
1洞爺温泉病院
pp.908-909
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103012
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経験の長い医療者は,対応の難しかった患者や家族に関する嫌な思い出の1つや2つはおもちだろう.今回は,患者・家族の陰性感情への対処の仕方について考えてみたい.困難事例への対応の仕方ととらえてもよい.
いきなり矛盾することを言うようだが,ここでの問題は,実は,患者・家族の陰性感情ではない.いくら相手が怒り狂っていたとしても,それ自体は問題ではない.問題は,それによって医療者自身の心の土台が揺らいでしまうことであり,相手の怒りに単純に「反応」してしまうことにある.すなわち,真の問題の所在は,相手側にではなく,こちら側にあるということだ.これは考えようによっては,大変ありがたいことである.なぜなら,問題がこちら側にあるのであれば,こちらで問題をコントロールすることができるからだ.
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