連載
ソローニュの森 ラ・ボルド病院・1
田村 尚子
pp.1-8
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100632
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パリから南西へ約100マイルほどにあるブロワ。この駅から車で20~30分ほどのソローニュの森の中にひとつの病院がある。ラ・ボルド。ジャン・ウリ院長による「制度を使った精神療法psychotherapie institutionnelle」で名高い、成人を対象とした精神科病院である。ウリが買い取った古いシャトー(城)が病棟である。創立は1953年、病床数は107。
日本でも数年前からジャン・ウリ氏の講演、フェリックス・ガタリという名前(この病院に勤めた精神分析家にしてラディカルな思想家)、ドキュメンタリー映画(ニコラ・フィリベールの『すべての些細な事柄』)、そしてさまざまな書籍における先駆的な取り組みの紹介を通じて記憶されてきた病院であったが、果たしてその姿を見る機会は限られていた。
今号より写真家田村尚子氏がラ・ボルドに通い撮り続けた写真を紹介したい。何が映っているのか、何が見えるのか。田村氏の眼を通したラ・ボルドだが、それはあなたの眼を通したラ・ボルドかもしれない。
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