連載
ソローニュの森 ラ・ボルド病院・2
田村 尚子
pp.1-6
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100649
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病院に到着すると、私が京都からきた写真家で数日間滞在をする、ということを患者やスタッフの前で紹介された。その後、ほとんど患者さんと過ごしていたが、1人で散歩している日には、どこからか突き刺すような冷たい眼で見られることも少なくなかった。これも気のせいかもしれないが、突然の訪問者なのだからそういうもんだと自分にいいきかせ、できるかぎり自然体でいることを心がけて、この病院の中を巡り、アトリエに出かけ、患者と過ごし、施設を探訪する。幾日か過ごしてもラ・ボルド病院では皆が私服なので、患者さんかドクターなのか病院のスタッフなのかをすぐさま見分けられる標はない。
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